●クレアフォームで変わるワークフロー
−−デザイン工程は、CADのモデリングよりクレイモデル優先ですか?
坂田:クレイモデル優先と言うことはありません。手描きでスケッチを描いて、クレイモデルを作ってからCADに持っていく流れを大切にしています。ただ、お客様によってはデジタルベースで行いますが、いずれにしても納得いくまで、デザインを詰める作業は同じかと思います。
−−クレイモデルをCADで編集するためのデータ化には3Dスキャナが欠かせないツールだと思います。以前より3Dスキャナをお使いとのことですが、新たにクレアフォームの非接触3次元測定器「MetraSCAN 3D」を導入された理由は何ですか?
坂田:我々、関連業種の中では3Dスキャナの導入が早かった会社なんですが、従来の機種はオペレーションに専任者を置く必要があり、例えば専任者が病欠した場合、作業が止まってしまう可能性もありました。
そこで、誰でも手軽に扱えるもっと簡便な3Dスキャナを探したところ、ちょうど日本で展開を開始されたばかりのクレアフォームさんの製品に注目したのです。それが2010年の末でした。誰でも使えるのはマネージメントサイドからは魅力ですし、当時クレアフォームは国内未導入でしたから、ちょっと冒険もありましたが、それだけ注目を集めるだろうこともありました。。
誰でも使えるのはマネージメントサイドからは魅力ですし、当時クレアフォームは国内未導入でしたから、ちょっと冒険もありましたが、それだけ注目を集めるだろうこともありました。
−−2010年ということは、約4年前、日本で一番乗りですね。実際にクレアフォームの3Dスキャナをお使いになられて、いかがでしたか?
坂田:非接触の測定システムを弊社では3種類使っています。それぞれ一長一短があるので、目的、用途に応じて使い分けています。クレアフォームのMetraSCAN 3Dのいいところは、実際に手で持って測定を行うので、測定したいところをスプレーするように手でなぞっていける点ですね。直感的に使えるので、若いスタッフは必然的に測定する対象物をよく見て考えながら測定していくので、造形への理解を深めることにもつながっていると思います。
弊社では主にクレイモデル測定、サーフェスデータ作成の領域でMetraSCAN 3Dを活用しています。魅力ある造形と高品質なサーフェスデータを切り離して考えることは難しいです。
−−MetraSCAN 3Dは専任者を必要とせず、誰でも手軽に精度の高いデータが得られるわけですね?
坂田:クレイモデルのサーフェスデータを取るために専門の測定者を置くと、工程が縦割りになってしまい、クレイ造形の重要なポイントが伝わらない測定やCADデータのポイントが伝わらない測定になってしまうこともありました。今はクレイモデラーもデジタルモデラーも皆3Dスキャンが扱えますので、クレイモデラーがこだわった造形箇所もしっかり測定を行えますし、デジタルモデラー側も必要な箇所は自分で測定が行えます。
さらに測定を通して、クレイモデラーとデジタルモデラーがコミュニケーションをとりながら作業を進められるので、よりよい測定データの獲得が可能になりました。そういう意味でMetraSCAN 3Dは、コミュニケーションツールにもなっています。
また、MetraSCAN 3Dは本体のデザインがカッコいいので、若いスタッフには人気です。仕事のモチベーションにもつながっているのではないでしょうか(笑)。
−−MetraSCAN 3Dを使った測定は、対象物にマーカー(ターゲット)を貼る必要がありますが、その点はいかがでしょうか?
坂田:他の測定器の場合、暗いところでなければダメ、振動に弱い、などいろいろ測定条件があります。MetraSCAN 3Dはターゲットが必要ですが、逆に明るい場所で振動も気にせず測定できますので、問題ないと思います。C-Trackの視野範囲内に最低3個以上のマーカー(被写体が車であれば60センチ程度の間隔)を貼っていくだけで、大型のトラックでも測定できます。
−−MetraSCAN 3Dでの測定データは点群ではなくポリゴンで取れますが、後工程は楽ですか?
坂田:使い勝手はいいです。測定データは、CATIA、Aliasなどで編集していきますが、昔のように、クレイ造形が終わってから測定して、デジタル工程へと順を追っているわけではなく、パラレルに作業を進めていけるようにもなりました。
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