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ハンディ3Dスキャナ「MetraSCAN 3D」を用いた
最先端の自動車生産システムを誇る
フィアロコーポレーション

埼玉県に本社を置く、自動車作りを中心とした試作開発支援会社、フィアロコーポレーション。同社がCAD/CAMなどのデジタルベースのワークフローを導入したのは1970年代からとかなり早い。3Dスキャナなど先進のツールも常に先駆けて業務に活用。2010年からは国内でいち早くクレアフォームの「MetraSCAN 3D」を導入し、より精度の高いモノ作りに取り組んでいる。ここでは同社デザイン開発部執行役員ゼネラルマネージャー坂田建吾氏に、「MetraSCAN 3D」の導入経緯、導入効果などの話を聞いた。

株式会社フィアロコーポレーション
フィアロコーポレーション(代表取締役社長:岩﨑晃彦氏)は、1939年創業の試作開発支援会社。産業機械の木型マスターモデル制作の会社としてスタートし、現在では主に自動車/オートバイのデザインから、試作開発領域、ショーモデル、金型用サーフェースデータ作成などを手掛ける。日本国内に3事業所(埼玉、栃木)と名古屋オフィス、および艤装品(ランプやメーター、シート類)の製作を得意とするフィアロスペース、米・カリフォルニア州アーバインに関連会社のフィアロインク。中国・上海に営業拠点フィアロ上海を持つ。社員総数約255名。
http://www.phiaro.jp/top

取材協力:クレアフォーム株式会社
http://www.creaform3d.com/ja

●木型の職人会社から最先端デジタルカンパニーに

−−今でこそ自動車作りがメインですが、1939年の創業当時は木型メーカーでスタートされています。当時はどのような製品を手掛けていらっしゃったのでしょうか。

坂田:操業当初は産業機械のマスターモデルを作っていた会社です。マスターモデルの木型を、ノミやカンナの手作業で作っていました。

−−産業用というと大型の機械作りが中心ですね。それがベースになって、やがて自動車産業に参入されたわけですか?

坂田:弊社が自動車産業に参入したのは戦後、日本の自動車産業が産声を上げた頃からになります。

一番最初にお付き合いさせていただいたのは、トラック自動車メーカー様です。弊社の木型職人を派遣して、メーカー様の現場などで作業していたと聞いています。当時から自動車のエクステリアもインテリアも手掛けていますから、そこから現在に至るまで、ツールは進化してきましたが、やっていることは同じです(笑)。

−−現在は、試作開発支援会社ということですけれど、概要をお話しいただけますか?

坂田:私がいる部署がデザイン開発部で、ここではデザイン、クレイモデル、サ-フェスデータなど、デザインがフィックスするまでの工程を扱っています。

狭山工場、栃木工場は、お客様からご支給いただくデータや私の部署のデータを元にモノ作りを行っています。グループ会社のフィアロスペースはヘッドランプ、メーター、シートなどの艤装パーツを専門で扱っています。同様のパーツをアメリカの工場でも扱っています。

現在の顧客は、日本国内の自動車メーカー様です。売り上げの大小はありますが、すべて日本のメーカーです。オートバイメーカー様も含みます。

−−現在に至る過程で、工程がアナログからデジタルベースに移行した時期があると思いますが、当時はCADでモデリングされていたのですか?

坂田:そうですね、1970年代に現会長がこれからCAD/CAMの時代が来る!と言う事で、各自動車メーカー様に先駆けて、NCマシンと一緒にCAD/CAMを導入したと聞いています。

CADの導入が早かったものですから、自動車メーカーさんが見学にいらっしゃったと聞いています。

−−CADの導入によって、従来の職人の技が途絶えてしまった面はなかったでしょうか?

坂田:弊社はいまでも新入社員にノミ、カンナを与えています。木が樹脂などの材料にに変わって、ノミ、カンナが工作機械に変わったとしても、モノ作りのアプローチは変わりません。基本的な技術の伝承はしていると思います。

−−試作開発支援会社として、フィアロコーポレーションの優位性はどういったところでしょうか。

坂田:優位性や競争力と言った部分は、我々が判断することではないと思いますが、しいてお話をさせていただくなら、デザイン(Sketchwork)やアイデアの企画段階から、最終的には実走のプロトタイプまでの設計、制作を一貫して行える点が強みと考えています。また艤装品の設計や試作まで内製で行えるのも特徴です。内製率の高さも優位性や競争力につながるかと感じます。

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株式会社フィアロコーポレーション
デザイン開発部
執行役員ゼネラルマネージャー 
坂田建吾
●クレアフォームで変わるワークフロー

−−デザイン工程は、CADのモデリングよりクレイモデル優先ですか?

坂田:クレイモデル優先と言うことはありません。手描きでスケッチを描いて、クレイモデルを作ってからCADに持っていく流れを大切にしています。ただ、お客様によってはデジタルベースで行いますが、いずれにしても納得いくまで、デザインを詰める作業は同じかと思います。

−−クレイモデルをCADで編集するためのデータ化には3Dスキャナが欠かせないツールだと思います。以前より3Dスキャナをお使いとのことですが、新たにクレアフォームの非接触3次元測定器「MetraSCAN 3D」を導入された理由は何ですか?

坂田:我々、関連業種の中では3Dスキャナの導入が早かった会社なんですが、従来の機種はオペレーションに専任者を置く必要があり、例えば専任者が病欠した場合、作業が止まってしまう可能性もありました。

そこで、誰でも手軽に扱えるもっと簡便な3Dスキャナを探したところ、ちょうど日本で展開を開始されたばかりのクレアフォームさんの製品に注目したのです。それが2010年の末でした。誰でも使えるのはマネージメントサイドからは魅力ですし、当時クレアフォームは国内未導入でしたから、ちょっと冒険もありましたが、それだけ注目を集めるだろうこともありました。。

誰でも使えるのはマネージメントサイドからは魅力ですし、当時クレアフォームは国内未導入でしたから、ちょっと冒険もありましたが、それだけ注目を集めるだろうこともありました。

−−2010年ということは、約4年前、日本で一番乗りですね。実際にクレアフォームの3Dスキャナをお使いになられて、いかがでしたか?

坂田:非接触の測定システムを弊社では3種類使っています。それぞれ一長一短があるので、目的、用途に応じて使い分けています。クレアフォームのMetraSCAN 3Dのいいところは、実際に手で持って測定を行うので、測定したいところをスプレーするように手でなぞっていける点ですね。直感的に使えるので、若いスタッフは必然的に測定する対象物をよく見て考えながら測定していくので、造形への理解を深めることにもつながっていると思います。

弊社では主にクレイモデル測定、サーフェスデータ作成の領域でMetraSCAN 3Dを活用しています。魅力ある造形と高品質なサーフェスデータを切り離して考えることは難しいです。

−−MetraSCAN 3Dは専任者を必要とせず、誰でも手軽に精度の高いデータが得られるわけですね?

坂田:クレイモデルのサーフェスデータを取るために専門の測定者を置くと、工程が縦割りになってしまい、クレイ造形の重要なポイントが伝わらない測定やCADデータのポイントが伝わらない測定になってしまうこともありました。今はクレイモデラーもデジタルモデラーも皆3Dスキャンが扱えますので、クレイモデラーがこだわった造形箇所もしっかり測定を行えますし、デジタルモデラー側も必要な箇所は自分で測定が行えます。

さらに測定を通して、クレイモデラーとデジタルモデラーがコミュニケーションをとりながら作業を進められるので、よりよい測定データの獲得が可能になりました。そういう意味でMetraSCAN 3Dは、コミュニケーションツールにもなっています。

また、MetraSCAN 3Dは本体のデザインがカッコいいので、若いスタッフには人気です。仕事のモチベーションにもつながっているのではないでしょうか(笑)。

−−MetraSCAN 3Dを使った測定は、対象物にマーカー(ターゲット)を貼る必要がありますが、その点はいかがでしょうか?

坂田:他の測定器の場合、暗いところでなければダメ、振動に弱い、などいろいろ測定条件があります。MetraSCAN 3Dはターゲットが必要ですが、逆に明るい場所で振動も気にせず測定できますので、問題ないと思います。C-Trackの視野範囲内に最低3個以上のマーカー(被写体が車であれば60センチ程度の間隔)を貼っていくだけで、大型のトラックでも測定できます。

−−MetraSCAN 3Dでの測定データは点群ではなくポリゴンで取れますが、後工程は楽ですか?

坂田:使い勝手はいいです。測定データは、CATIA、Aliasなどで編集していきますが、昔のように、クレイ造形が終わってから測定して、デジタル工程へと順を追っているわけではなく、パラレルに作業を進めていけるようにもなりました。

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▲MetraSCAN 3Dによる測定の実際(クリックで拡大)


 

 

 

 

 

 

 

 

 




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●さまざまな局面で活躍するMetraSCAN 3D

−−自動車関連以外でのMetraSCAN 3Dの利用事例があれば教えてください。

坂田;MetraSCAN 3Dはハンディータイプなので、自動車のインテリアやオートバイのように入り組んだ形状にもアプローチしやすいのは大きなメリットです。

乗り物関連以外では、ロボットや装置などデバイス系の中身を測定して、外装カバーとの干渉を検証するためにMetraSCAN 3Dを利用しています。それとCAE、解析のための測定も行います。これは金属のねじれ、剛性などの強度を解析するためのデータ取りです。例えばパイプフレームを測定して、メッシュ切を行ったり、その雛形になるデータを測定しています。

あと、射出成型物や注型品のデータとの差異の検証、フィジビリティーの盛り込みに利用しています。

また、古い金型のデータ化、保存にも3Dスキャナを活用しています。昔作った製品で図面がないもの、金型などをアーカイブしておくための測定です。デジタル化して保存するための測定ですね。

−−なるほど。自動車のサーフェスのみならず、さまざまな局面でMetraSCAN 3Dを利用されているのですね。

坂田;その他としては、測定データを画面上で可視化することで、各フローの担当者と情報の共有化を図ることにも活用しています。デザイナーとエンジニアのコミュニケーション、情報共有です。今はテレビ会議なども行いますので、お客様との情報共有にも役立っています。

●MetraSCAN 3Dの導入効果

−−MetraSCAN 3Dの導入効果はいかがですか?

坂田:ある程度トレーニングを行えば、誰でも簡単に使える点が、生産性の向上につながっています。スキャンの対象物によっては、一概には言えませんが、従来の3Dスキャナの半分の時間で測定が完了する場合もあります。

また専任者が必要ないので、急を要する測定業務にもさまざまなスタッフが臨機応変に対応してくれています。若手にも責任ある業務を任せることができ、仕事へのモチベーションの向上にもつながっていると考えています。

スキャンのための準備、セッティングも短時間で済みます。対象物に貼るターゲットの数も少なく、マシンの立ち上げ時はキャリブレーションだけなので、測定開始までの段取りが早いです。測定後のデータのまとめも早いです。

それと現場では他の作業と並行して測定が可能ですので、時間を合理的に使え、トータルの作業時間の短縮に貢献しています。

−−最後にMetraSCAN 3Dに限らず、3Dスキャナへの要望、期待などお聞かせください。

坂田:もともと自動車作りは「倣い測定」から始まっていますから、今の3Dスキャナは夢のようなシステム、なくてはならないシステムになっています。ただ、我々にとっての生命線は、いかにクレイモデルを精度高く速く測定するかですので、こういった用途は3Dスキャナのメーカーさんにとってはニッチ市場かもしれませんが、この領域への対応をより強化していただければと思います。

−−クレイモデルを測定するためのノウハウが少ないのですか?

坂田:例えば自動車のスキャンは稜線(キャラクターライン)やエッジの抽出が測定で重要視される部分です。そこが測定データでいかに表現できるかが課題です。キャラクターラインの測定テクニックやターゲットの置き方など、精度につながる部分のノウハウの紹介やソフトウェアのバージョンアップがもっとほしいですね。

今後の話としては、現状ではCADでサーフェスを貼っているのですけれど、測定システム上でサーフェスデータまで作成できればいいですね。測定機レベルを超え、我々の開発フローが抜本的に変わるような、新しい進化の方向性もあるかと思います。

デザインを最終的な製品に仕上げるには、クレイモデルも計測データも熟成させていきたい。そういう意味で、より精緻に、完璧に取れる測定システムに期待しています。

−− ありがとうございました。

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▲「C-Track」が「MetraSCAN」の空間位置を把握し、スキャナから出るレーザーで測定物表面を走査する(クリックで拡大)


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▲ハンディータイプ3Dスキャナ「MetraSCAN」と測定中のソフトウェア画面(クリックで拡大)


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▲「C-Track」(写真上)と組み合わせて、接触式アームレス測定機「HandyPROBE」を使用することが可能(クリックで拡大)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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